太陽と月


「それより、ねっ!! こっち来て」




真っ白なバルコニーに座り込んで、ボーっとしていた俺に、目を輝かせた彼女が手招きする

緩む頬を締める事なく、手招きされるがままバルコニーの手すりの所まで歩み寄る



すると




「うわっ」




目の前に現れたのは、数えきれない程の満開の桜の木

雲一つない青空の下、太陽の光を吸い込んで薄ピンクに咲き誇る桜が、並木道に沿って綺麗に咲いていた





「すごいでしょ?」

「――圧巻ですね」

「ここから見る桜が、一番好きなの」




そう言って、風に泳ぐ髪を優しく撫でた彼女

綺麗な横顔の向こうには、満開の桜が並ぶ




思わず見惚れてしまいそうな光景に

俺は目を細めた


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