太陽と月








「気を付けてくださいよ」

「うん」



ギシギシと頼りない音を出すハシゴをつたって降りてくる彼女にそう言う

万が一落ちてきてもいい様に、俺が下で受け止める準備をしていた




彼女、何でもできる様な顔して

ちょっとドジな所があるから




「それより、こんなハシゴどこにあったんですか?」

「裏の倉庫の中~。ちょうどいい大きさでしょ?」

「そうですけど、けっこうガタきてますよ」

「補強工事が必要かもね」




ふふふっと小さく笑いながら、ゆっくり降りてくる彼女を見上げる

動く度に揺れるハシゴを両手で強く握りしめて、彼女が降りやすい様にする




こりゃ、もう1人じゃ昇らせれないな

あんな所から落ちたら、怪我どころじゃ済まないぞ



そんな事を思いながら、彼女を見上げる





「大西くん、支えてくれてありがと――キャッ」




すると、もう少しで到着という所でわざわざ俺の方を向いてそう言った彼女が、突然右足を踏み外した

あっと思った瞬間には、彼女が空から降ってきて

俺の胸に飛び込んできた



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