太陽と月


どこまでも続く青い空

白い雲が、ゆっくりと流れていく



あの雲はどこへ行くんだろう

風に乗って、彼女の元までいくだろうか



だったら、この気持ちを一緒に乗せて行って欲しい

季節が巡る度に増える、この気持ちを




会いたい――

何度も湧き上がる気持ちに蓋をする事ができなくて

目頭が熱くなる




小さな思い出に触れる度に

彼女と見た景色を見る度に

どうしようもなく、会いたくなる

泣きたくなる



会いたくて、堪らない

抱きしめたくて、堪らない

名前を呼びたくて、堪らない


壊れてしまいそうな心が悲鳴を上げるのに

世界は穏やかななままで、何故か俺だけ別の世界にいる様な感覚になる




「悠理さん…」



呟いた声は風に乗って消える

胸に小さな痛みを残して、消えた


< 321 / 353 >

この作品をシェア

pagetop