太陽と月
「星野支配人」
「ん?」
「今日、莉奈さんの紹介で入社した新入社員の子が来るそうです」
「あ~そうだったな」
いつもの様にどこか淡々とそう言いながら、もの凄いスピードでパソコンを打っていた星野支配人が、ゆっくりと視線を上げた
切れ長の目に
真っ黒な瞳
あの頃から、まるで時が止まっているかの様に
この人の色気は衰える事を知らない
「お前に一任する」
「はい」
「任せたぞ。大西」
チラリと俺の方に目をやって、再び仕事に打ち込む星野支配人
彼女の夫であり
彼女が愛する男
本当なら、ライバルというべきものなんだろうけど
俺はこの人に勝てる気がしないし
面倒な事に、俺もこの人の事は好きだ
――もちろん、上司として
人間として
心から尊敬している