太陽と月
――それから約束の時間になっても、一向に彼女は現れなかった
何度も時計を確認するが、俺の時計は壊れていない
辺りを見渡して、それらしい人を探すが見当たらない
「俺のミスか?」
一気に不安になって、彼女宛てに送った書類を思い返す
何度か履歴書に書いてある彼女の携帯に電話したが、留守電にしか繋がらない
「どうしたもんかな」
深い溜息と共に、もう一度時計を見直す
チャペルや会場の周りでは、スタッフが朝の清掃をしている
考えていても仕方ないと思い、玄関に近い場所を箒で掃いて待つ事にした
すると
「――ん?」
視界の端に見え隠れする黒いスーツ
思わず目を細めて、それを見つめると
隠れているつもりなのだろうか、電柱に身を隠しながらチラチラと会場を見つめる1人の女の子がいた
「あれって...」
遠くからだから分からないけど、どこか履歴書の写真の子に雰囲気が似ている
それに、まだ着慣れていないけど、あれはうちの制服だ