太陽と月



「そうだけど?」



短くそう告げた俺の言葉を聞いて、まるで雷に打たれた様な顔になった彼女

そのあまりの驚き様に、思わず吹き出しそうになる





「もっ申し遅れました!! 瀬川花音です!!」

「あ~うん。さっき聞いたから大丈夫だよ? それより、俺もしかして集合時間書き忘れた?」

「い...え。9時に事務所まで...と。」



心配していた事を聞くと、再び青くなる顔で小さくそう言った彼女



あれ? じゃぁ、俺の間違いじゃないのか

チラリと腕時計に目を落とすと、時計は約束の時間を過ぎて




「今..10時...かな」




そう言った




その言葉に、今にも泣き出しそうな顔になる彼女

そして、何か思い当たる事があったのか、なんなのか

ムンクの叫びの様な顔をして、力なく項垂れた後




「すいませんっ!!」




もの凄い勢いのお辞儀と共に、そんな声が響く

それから怒涛の様に、頭を何度も下げて謝りだした彼女



その姿に、思わず目が点になる

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