太陽と月


「あ~うん。大丈夫だから。とりあえず中入ろうか?」




今にも泣き出しそうな彼女にそう言って、会場へと続く道を歩き出す

その後ろを、トボトボとついてくる彼女は、本当に何かの小動物みたいで、思わず目を細めた



なんだか、守ってあげたくなるタイプだな

放っておいたら、そのうち誰かに食べられてしまいそうだ





「大丈夫だから。心配しなくても」

「ほ..本当ですか?」




思わずそうかけた言葉に、彼女が眉を下げながら答える



小さな少女みたいな子

汚れていない、真っ白な子




「あぁ。問題ない」




そう言った俺をじっと見つめる彼女

ゆっくりと頬を上げて目を輝かせ始める

そして




「はいっ」




まるで春の花の様に

鮮やかに微笑んだ


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