太陽と月
春
彼女―――瀬川花音は
純粋で真っ直ぐな子だった
何も知らない、真っ白な人材
素晴らしい事なのに、彼女はそれが不安みたいで
周りに染まろうと必死だった
それでも、どこかペース配分が苦手なのか、不器用なのか
みんなより、少しスローペースだ
別に人それぞれだから気にする事じゃないのに
彼女は毎日必死に、俺達の作る渦の中を駆け回っていた
何度失敗しても
何度間違えても
彼女は、必死に俺の言葉に耳を傾けた
真っ直ぐで純粋
穢れない心
それが、俺には眩しかった