太陽と月


再び湧き上がる想いに、息もできなくなる

手に入らないと分かっているのに、この想いは消えてはくれない



会いたくて

抱きしめたくて

たまらないのに

彼女はもう、どこにもいない




狂ってしまいそうだった

誰かを愛する事は、こんなにも辛い事なのか




「いっそ――俺の感情を壊してくれよ」




そうすれば、こんな胸が掻きむしられる思いも

壊れてしまいそうな心も

零れてしまいそうな涙も


感じる事はないのに―――





「――悠理さんっ」




擦れる声で彼女の名前を呼ぶ

心に灯っていた灯は




再び真っ黒な闇で

見えなくなった


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