太陽と月
「何か言いました? 主任?」
俺を見上げて、首を傾げる彼女の髪を優しく撫でる
すると、嬉しそうに微笑んで再び俺の胸に飛び込んできた彼女
ふんわりと香る、お日様の香りが胸いっぱいに広がる
あの頃の様に、もう胸を掻きむしられる思いはない
俺の心に光を灯してくれた彼女
失った笑顔を取り戻してくれた彼女
ずっと、一緒にいたいと思う
「ありがとう――」
愛した人に別れを告げ
新しい愛の元へ―――
今日も俺は、この空の下
瀬川の事を想っている
誰よりも
誰よりも
【完】