太陽と月
「秘密の場所って...私に教えても良かったんですか?」
再び桜の方に視線を戻した大西主任にそう問いかける
秘密の場所って、誰にも秘密だから秘密の場所なんじゃ...
そんな問いかけて横を向くと、目を細めて桜を見つめる主任がいた
真っ黒なスーツ姿で、バルコニーの手すりに体を預ける、その姿
春の柔らかい風が主任の綺麗な髪を泳がせて
大きなアーモンドの様な瞳を眩しそうに細めて、微かに唇に弧を描いている
その横顔がなんだかとてもカッコ良くて、ドキドキと心臓が高鳴った
すると、思わず口を噤んだ私を見ずに、真っ直ぐ前を向いたままゆっくりと主任の口が開いた
そして
「頑張ってるご褒美」
そう言って笑った主任は、太陽みたいだった