太陽と月


そして、迎えた週末――





「瀬川」

「・・・はい」

「とりあえず、息しようか」




そんな声を聞いて、今まで自分が息をしていなかった事に気が付く

ぷはぁ!! と息を吐くと、ケタケタと大西主任が笑った




「緊張しすぎだって」

「誰だって緊張しますよ..」

「大丈夫だ、俺がついてる」

「うっ」



そう言って柔らかく微笑んで、ぽんっと頭に手を乗せられた



この3週間でだいぶ打ち解ける事ができた私と大西主任

それはきっと主任の人柄のおかげだと思う



社内でも信頼は厚く、星野支配人に次いでこの式場の有力プランナーだと聞いた




「深く考えなくていい。楽しめば、周りも自然と楽しくなるから」

「はい..」

「それに瀬川は俺の後ろについて、簡単に手助けしてくれるだけでいいから」

「はい..」




我ながら、なんとも情けない返事だと思う

それでも、全く自信のない私はお腹から声を出して返事をする事ができない



だって、この3週間で自分なりに結婚式がどういうものであるか理解したつもりだ

沢山の人達の協力でできあがった1つの時間

夢と想いを沢山詰め込んだ結婚式

その重みが、すべてプランナーに託されているわけで



結婚式の進行1つで、すべてが変わる

いい方向にも、悪い方向にも―――

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