太陽と月



「行くぞ」




そう言って、耳にかけていたインカムをONにした大西主任

真剣な眼差しに、なんだかドキドキする





それからは、本当に怒涛の様な時間だった

楽しみながらやればいい。という大西主任の言葉通り、とりあえず笑顔だけは崩さなかった



緊張してワケが分からなくなる中

何度も私の事を気遣って、微笑んでくれる大西主任

その度に大丈夫だと言われている気がして、心が少し落ち着いた




それでも、挙式が始まった瞬間

そんな緊張は全部吹き飛んだ




チャペルに埋め尽くされた人達

真っ青な空から零れる光

眩しいくらいの大理石の床



それらに負けないくらい輝く、純白のドレスを着た新婦

その綺麗さに思わず言葉を失った



いつも打合せで会っていた人なのに

全く別人に見える


それでも、私に向かって嬉しそうに微笑んでくれる新婦さんを見ると、嬉しくて嬉しくて泣きそうになった
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