太陽と月
覚悟を決めた瞬間、一気に心拍数が上がる
極度のあがり症の私
もはや卒倒寸前だった
心の準備ができていなかった事もあってか、いつも以上に緊張している
足が微かに震えるのを感じて、ギュッと拳を握った
頼りない頭を総動員して、シミュレーションをする
それでも、極度の緊張で全く纏まらない
そんな事をしている間に、髪の毛を簡単にチェンジした新郎新婦が現れる
その側をニッコリと笑って誘導する主任
そして披露宴会場の扉の前で硬直する私を見て、小さく頷いた
引きつった笑顔の私の隣で入場の説明をする主任
入ってからは、瀬川についていってくださいね。と言われて、壊れた玩具みたいにぎこちないお辞儀をした
刻々と迫る時間
チラリと腕時計に目を落とすと、定刻を少し過ぎたくらいだった
じんわりと浮かぶ冷や汗を拭って、大西主任に目を移す
すると、説明を終えた主任が不安気に見つめる私にゆっくりと近づいてきた
「大丈夫?」
「お...おそらく」
「顔、引きつってる」
必死で作った私の笑顔を見て、ふっと表情を緩めた主任
それでも、これ以上の笑顔は今の私には作れない