太陽と月


その瞬間、ザワザワしていた扉の向こうの会場が音を無くす

まるで会場と私が調和した様に、緊張感が世界を覆った




「会場の扉の前に立ってて。インカムで開けるタイミングは教えるから」

「分かりました」




コツコツと耳に当てているインカムを指で叩いて、微笑む主任

その姿に頷いてから、ゆっくりと披露宴会場の中に入った




一度会場をぐるりと見渡して、小さく深呼吸を繰り返す

暫くして、ゆっくりと照明が落とされる会場

聞こえるのは破裂しそうな心臓の音だけ



そんな私の心とは裏腹に流行りの陽気な歌が会場を包む

そして




「開けて」




インカムの向こうから、大西主任の声がする

その瞬間、扉の端を軽くノックした




すると、その瞬間見上げる程の大きな扉が一斉に開く

目が眩む程のスポットライトが一斉に注がれる



その先にいたのは

眩しいくらいの新郎新婦だった
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