太陽と月


「私のせいで、せっかくの披露宴を台無しにしてしまってっ!! 本当にすいませんでした!!」

「せが――」

「責任を取れと言うなら取ります! 遠慮せずに言って下さいっ」

「ちょ――」

「辞めろと言うなら――タダで働きますっ! 使えないかもしれませんけど、一生懸命っ――」

「待って」




勢いのままに大西主任に詰め寄って、大声でそう言う私の言葉を止める様に、私の唇の前に静かに主任の人差し指がかざされた

封じ込まれる様に言葉を止めた私を見て、苦笑いしながら大西主任が笑った




「一回、落ち着こうか」

「でもっ」

「落ち着いて」



暴走寸前の馬をなだめる様に、優しい声色でそう言って、優しく微笑む主任

いつものその笑顔に、ドロドロになっていた心に温かい風が吹く



何も言わずに暗闇の中で輝く大西主任の瞳

その瞳をじっと見つめながら、小さく溜息を吐いた




「落ち着いた?」

「た..たぶん」

「話して大丈夫?」

「た..たぶん」




未だにまともな返事もできない私を見て、一度ふっと笑った主任

そして、屈んでいた体を元に戻した



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