太陽と月
「――悪かった」
体勢を元に戻した瞬間、零された謝罪の言葉
その言葉に、意味が分からずにポカンと口を開けて固まる
「まだ慣れていない瀬川を現場に放り込む様な事をして」
「いえっ...そんな事..単に私がどんくさいだけで」
まさか大西主任から誤られると思ってもいなかったから、頭が話についていけない
そんな私の言葉を聞いて、静かに首を振った大西主任
「あまりにも瀬川が楽しそうに現場を見ているから、もっと近くで見せてあげたいって思ってさ」
「え?」
「まるで子供みたいに目輝かせてるもんだから、なんだか嬉しくなって」
「――」
そう言って、苦笑いしながらもう一度悪かったと言った主任
その様子を、ただ茫然と見つめる
「だから、今日はおあいこって事で」
「おあいこ?」
「瀬川だけの責任じゃないって事」
そう言って、小さく息を吐いてから
私の頭にポンッと静かに手を置いた主任