太陽と月
じんわりと広がる大西主任の手のぬくもり
その温かさが体にゆっくりと伝わって、鉛の様に重たかった体が一気に軽くなる
「え?! ちょ、瀬川?」
その瞬間、体の力が一気に抜けて、その場にヘナヘナと座り込んだ
急に足元から崩れ落ちた私を見て、目を丸くする大西主任
「私っ...辞めなくてもいいんですかっ」
そんな主任を見上げて、声を詰まらせる私
今にも流れ落ちそうな涙を押さえて、ぎゅっとスーツを握る
「私っ、まだここにいてもいいんですかっ?」
あんな失敗をしてしまったのに
現場に穴を開けてしまったのに
まだ、ここにいてもいいの?
すると、地面にしゃがみ込んだ私の視線に合わせる様に、私と同じ様にその場にしゃがみ込んだ大西主任
大きな猫目が私を見つめる
クイッと両端の上がった口が微かに緩む
そんな主任が同じ目線の私を見つめて
「当たり前」
そう言って
いつもみたいに笑った