太陽と月
◇
「んふぅ~」
目の前で大きな目を見開いたまま、茫然と私の姿を見つめる主任
フォークに巻いていたはずのパスタが、ポトリと皿の上に落ちたのを見る
「どうしたんですか? 大西主任――あ、これお代わり下さい」
ゴクンとピザを飲み込んでから、近くを通り過ぎて行ったウエイターに空になったピザの皿を指さす
すると、主任と同じように微かに目を見開いたウエイター
苦笑いを浮かべながらも、はい。と愛想よく頷いた
「よく食う...な」
すると、申し合わせた様に放心状態の大西主任がそう言う
「はい! 私、兄ちゃんが上に二人いるんで」
「え? それ関係ある?」
「2人ともスポーツをするんで、よく食べるんです。それで」
「あ~うん――瀬川もじゃぁ何かスポーツを?」
「いえ、私は運動オンチなんで」
「――」
さっき追加で頼んでいたサラダがちょうど運ばれてきて、大西主任が言葉を切った
昔から競う様に上の兄達とご飯を食べていた私
気が付いたら、どこまでも入る底なしの胃袋になっていた