太陽と月



「そうか」



私の言葉を聞いて、柔らかく微笑んでそう言った大西主任

小さく息を吐いて、椅子の背もたれに深く腰かけた




「なんだか、瀬川見てると俺も頑張らなきゃって思えるな」

「え?」

「一番大切にしなきゃいけないもの、思い出される」

「大切?」

「――もっと、頑張らなきゃな」



小さくもう一度そう言って、苦笑いしながら大きく息を吐いた主任

どこか寂しそうな瞳で誰もいないテラス席を眺めている

その姿が、なぜか胸にチクリと刺さる




モヤモヤとしたものが体の中から生まれて

思わず持っていたピザを置いた




「主任は頑張ってます!!」

「え?」

「十分頑張ってます。頑張りすぎぐらいです」



いつも笑顔でみんなを纏め上げて

一生懸命仕事して

文句1つ言わずに、頑張ってる



まだまだ社会人になってすぐで、ほとんど学生みたいなものだけど

本当にすごいと思う




あんな風になりたいって思う



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