太陽と月





「――主任は、よくここに来るんですか?」



しばらくして、運ばれてきたピザを飽きずにモグモグと食べながら、そう問いかける


キョロキョロと店内を見渡すと、落とされた照明の中に、見るからにお洒落なカップルが勢ぞろいしている

奥の方にはライトアップされたお酒が陳列されていて、高級感をかもし出している



こんなにお洒落な店なんだもん

きっと彼女とよく来てるのかな



そんな事を思いながら、ぼーっと辺りを見渡す私に小さく首を振った主任




「昔はよく来てたけど、最近は来てなかったかな」

「どうしてです?」

「ん~? 一緒に来る人がいなくなったから?」



小さく笑いながらそう言って、手についたトマトソースをペロリと舐めた大西主任



「いなくなった?」

「そ。さすがに1人でここに入る勇気はないから。だから今日は久しぶり」

「そう...なんですか」



なんだか聞いてはいけない事を聞いてしまった?

少しお酒が入っているからか、猛烈に見境がない



徐々に回ってきたお酒の力も借りてか

気持ち良くなってくる


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