太陽と月







「これが営業報告書。営業先のお客様の経過の報告。毎週の営業会議でプランナーに報告する事になってるから」

「はい」



自分のデスクに座った私の手元にバサバサと書類と資料が置かれていく

必死に文字と説明を追いかける私に、隣に座りながら丁寧に説明をしていく主任



すっかり帰りが遅くなった私達

事務所にはもう誰もいなかった




「――で。ここに瀬川のハンコを押して、星野支配人に提出」

「わ..分かりました」

「じゃ、書いてみて? 分からなかったら、また呼んで」




メモ書きに文字を走らせ続けていた私にニッコリ笑って、自分のデスクに戻っていった大西主任

難しそうな書類に囲まれて、真剣な顔でパソコンを打ち始めた



その様子を横目で見ながら、大きく息を吸い込んで吐く




よし!! やるぞ!!




静かな事務所にペンを走らせる音だけが響く

無我夢中で書いていると、本当に周りの音が遮断される


すると




「どう?」

「うぎゃぁ!!」



急に後ろから声を掛けられて、ビクンとその場に飛び跳ねる

おまけの様に、なんとも汚らしい声が出てきて

自分でも驚いた

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