太陽と月




「瀬川、動くな!!」




悍ましい騒音の中で、聞きなれた声を聞く

その声に安堵して一瞬泣きそうになるが、主任の忠告も聞かずに、その声の元へ行こうと再び足を進める

すると




「え!? きゃっ」




両手を前に突きだして、まるで赤ちゃんの様に歩いていた時、不意に何かに足を取られてそのまま倒れ込む

それと同時に、足やら手に何かがぶつかって、バサバサと落ちていく音がする




「瀬川!?」




頭と腰に鈍い痛みを憶えて、顔を歪めていると、微かな明かりと共に主任が私の元へと滑りこんできた

携帯の明かりに照らされた主任の顔を見て、一気に安堵が込み上げる




「大丈夫か?」

「すいませんっ――キャァァ!!!」




泣きそうな声で謝った瞬間、再び轟音が鳴る

バリバリっと凄まじい音を聞いて、体が震える


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