太陽と月
「大丈夫だ。落ち着け」
思わず目の前の主任の胸に飛び込んで、ガッシリと服を掴んだ私に、主任の声が降ってくる
まるで赤ちゃんをあやす様に、ゆっくりと背中を撫でられた
徐々にだけど、小さくなっていく雷の音
それでも、外では雨が窓を打ちつける音と
何かが地面にあたって、転がっていく音が聞こえる
真っ暗な世界で、チラリと視線を上にずらすと大西主任の名札が目に入った
微かに香る主任の香りが、恐怖の心を和らげる
包み込む様に私を上から抱きしめる大西主任
「止んだか」
呟く様にそう言った主任の息が耳にかかる
そして、抱きしめていた腕をゆっくりと解いた
ハラリと主任の髪が額に散らばる
大きな猫目がゆっくりと開いて、私を映し出した
「大丈夫か?」
「――は..い」
小さく首を傾げて、そう尋ねる主任
私の返事を聞いて、小さく安堵の溜息を吐いた
そして、ゆっくりと私から離れようとした時