太陽と月



「――あ...」



無意識だった



隙間がないくらい抱きしめてくれていた大西主任の体が離れた瞬間

ものすごい恐怖に襲われた



気がついいたら、震える手で離れていく主任のスーツの裾をギュッと握りしめていた

その姿に気付いた主任が微かに振り返って、グッと腕を掴んで座り込んでいた私を引き起こした




「立てる?」

「大丈夫です・・・」




頼りない言葉と共に、ぐっと足に力を入れて目を細める

主任が照らし出した足元には書類が散乱している


きっと、さっき私が無暗に歩いたりした時にひっくり返したものだ




「とりあえず、電気を付けに行く」

「はいっ」




未だ足に力の入らない体を振るい立たせて歩く

その間も私の手首を掴んでいた主任



真っ直ぐ前を向いて、おぼつかない足の私を引っ張ってくれた


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