太陽と月





それから電気系統がまとめてある部屋に向かって電気を付けようと試みたが、一向に点きはしなかった





「雷が落ちた可能性があるな」

「そんな…」

「予備電源もやられてる。これは、業者に頼まないと直らないな」

「これからどうしましょうか…」

「携帯も繋がりにくくなってる。電車もこの雨だと動いてないだろ」




そう言って腕時計に目を落とす主任

チラリと覗きこむと、もう日にちが変わっていた




「おそらく警備システムもやられてる」

「え!?」

「どのみち家まで歩いて帰れる距離じゃないし、この雨風の中だと危険だ――」




そう言って、小さな部屋の中で顎先に手を当てて考え込む主任

そして、考えが纏まったのか小さく息を吐いて私の方を向いた






「仕方ない。今日は会社に泊まるか」




そう言った


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