太陽と月



拾い上げたハガキには、うちの式場が結婚式の後に出しているアンケートのハガキだった

小さなハガキいっぱいに書かれた感謝の文字

そして、その上に書かれていた名前




『藍原悠理』




「あ、すごいですね、この方。他にもこんなに沢山ハガキが」



ふと目をずらすと、きっと束にして置いてあったんだろう、同じ様なアンケートのハガキが散らばっていた

どれもこれもハガキいっぱいに感謝の文字が連なっている




「すごいですね!! このプランナーさん! えっと...これは5年前のだから――」

「もう退職した人だよ」



ハガキの日付を読み上げようとした私にそう言った主任

パッと隣を見ると、微かに微笑みながら同じように拾い上げたハガキに目を通していた




「だから、ここにはもういないよ」

「そうなんですか。でもとっても素敵なプランナーさんだったんですね。だってこんなにお礼のハガキが」




ガサガサと床に手を這わすと、出てくる大量のハガキ

どれもこれも藍原さん宛てだ



それらを集めて、大西主任に見せる

そんな私の手元を見て、目を細めた


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