太陽と月


コンコン




静寂の中に、無機質な音が響く



「はい」



一瞬の間を置いて、部屋の中から返事が聞こえた

その声を聞いて、ゆっくりと音も無くドアを開く




開いた部屋の中は真っ暗で何も見えない

それでも、足を一歩中に踏み入れると、奥にあるソファーの上で明かりが見えた


導かれる様に視線と足をそちらに向けると、大西主任が携帯の明かりに照らされながら、一瞬驚いた様に目を見開いてこちらを見つめていた




「瀬川? どした?」



それでも、いつもと同じように優しく問いかけてくれる主任

ゆっくりとソファーから立ち上がって、ドアの前で立ちすくむ私に歩み寄ってきた

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