太陽と月
「え?...あ、はい。そうです。母の好きな曲なんです。でも安易ですよね、好きな曲をそのまま名前にするなんて」
単純明解な母の名づけ理由を話して、なんだか恥ずかしくなる
照れ隠しにエヘヘと笑いながら、俯いていると
「そうかな? 俺も好きだけどな、カノン」
「えっ?」
「結婚式でもよく流れるんだよ」
一瞬、自分の名前を呼ばれたのかと思ってドキっとした
それでも付け加えられた言葉を聞いて、慌てて首をブンブンと振る
「私も好きです、カノン! とっても綺麗な曲ですよね」
どこまでも澄み渡る様な綺麗なメロディー
幼い頃から、お母さんがよく聞いていた曲
だから、私もカノンの曲はどんなクラシックより好きだ
「私も自分の結婚式の時には、カノンの曲と一緒にバージンロードを歩きたいです」
頭の中にカノンを流しながら、うっとりとその光景を妄想する
初めて見たウエディングドレスの新婦さん
お姫様みたいで、本当に綺麗だった
いつか私も・・・・ってやっぱり思っちゃう