隣の芝生は青い
「笑ってください」
「・・・・うん」
目の前に座るスーツを着た高松さんは、私の今までの話を聞いて、少し笑った。
「私、いつもこんな恋愛ばかりなんです。中学のころはこれが原因でいじめられたし、高校のときも随分悩んだし、二十歳になったし、もうこんな恋愛はしないように気を付けようって思っていたんです。」
「でも人のものだと分かったら余計に欲しくなる。」
高松さんの黒目がちな瞳に私が写りこむ。
「そうかも、しれません・・・・」
「隣の芝生は青い。こんな言葉があるくらいだ。片瀬さんは自分を責める必要はないよ。そんなことは時間の無駄だと思うから」
「冷静に考えたほうがいいよ。友人を裏切ってその男を奪うか、新しい男に目を向けてみるか」
優香を裏切る・・・・・・・
そんなことはできない
「ひとつ僕からの意見だけど」