隣の芝生は青い
コミュニケーション障害の女
「えーとっ…
な、なに?」
男のくせに整った顔が頬杖をついて、わたしを凝視している。
「うーん。‥‥‥芽衣子ってさ、見た目と性格ぜんぜん違うよね。意外と普通っていうかさ」
「‥‥‥‥‥。」
《意外と普通》
言われ慣れているけど、やはり少し傷つく。
目の前にいる長年の友人である、小十郎でさえも。
彼はわかっているだろうに、時々思い出したように言うのだ。
「小十郎。それ言うのやめてよ。結構傷つくの」
「じゃあその首のチョーカーと手首にジャラジャラつけてるブレスレットと派手なネイル、その他もろもろのもの辞めろよ。周りは絶対思わないぜ。外見これなのに、中身は処女のクソ真面目女だからな」
「小十郎だって人のこと言えないんだからね 」
小十郎は外見から見ると顔も綺麗だし、小物使いがうまいお洒落で誠実そうな男の子に見える。
が、小さい頃から知っている私は全部わかっている。
この男、超のつく女たらしなのだ。