隣の芝生は青い
「お前って俺以外の男に対して相変わらずみたいだな。」
「…な、なんのこと?」
「高松さん言ってたぞ。『片瀬さんは男が苦手のようだね』って。」
カチンと体が固まる
「高松さんが?小十郎が話したんじゃなくて…?」
「俺は何も言わねえよ。なんかあの人結構酔っ払っててさ。隣に座ってきてお前のこと話し始めたんだ。」
「え?」
「あ、そもそも。なんで話しかけてきたかっつうと、あの人、何回か俺がお前んちに遊びにいってるの見たみたいでさ」
へえ。
「んで、お前とロビーで会ってもいつもぎこちない挨拶をされて自分がエレベーター使うときは、8階なのに階段使うとか、明らかに男を避けてるとような感じがする。ってさ。」
ば、ばれていた…
さすがにエレベーター使わないのはあからさまかとも思っていたけど。
私にとって男の人と密室に二人きりというのはものすごく苦手なことなのだ。
「慣れると猫みたいに懐きますよって言っといてやったぞ。」
「小十郎!!!」