神の戯れ
「だが、生きにくくなっているのは事実だ。これ程にまで異能者の数が激減するとは思いもしなかったし、このまま今の状況が続いた後の結果を考えると気が引ける。だから俺は人々の、政府の真意を探ろうと思っている」
「真意を探る、ね。この現状から抜け出す打開策ではあるでしょうけど、たった独りでそれをやるつもり?」
「当然。まぁ、共に行動してくれる奴が居たら心強いとも思うけれど、そんな変わり者は居ないだろう?」
異能者を滅ぼしかねない力を持つ人々に立ち向かうなど命知らず。
自らの命を捨てる覚悟の者など居る筈が無い。
恐れるものも無い魔女の彼女もまたそうである。
「ごめんなさいね。私はそんなに強くはないし、貴方の力にはなれないわ」
「謝る事は無いさ。貴女のような異能者が旅の友だと助かるが、そんな高望みなどしていない」
断るのは当たり前だと、アスラは柔らかく微笑んでみせた。