神の戯れ
一歩足を進める度サクリと鳴る足音。
吹き荒れる冷たい風は剥き出しの肌を刺す。
辺りを見渡せば、どこもかしこも一面真っ白だ。
「あぁ…寒い……」
身震いしながら言葉を漏らすのはアスラ・エリクサー。
彼は独り酷い吹雪の中高く降り積もる雪山を登っていた。
ふと足を止め振り返ると、有るはずの足跡が見当たらない。
ものの数秒でかき消されてしまう程の積雪量。
何処を見ても同じ景色。
有るのは雪。
吹雪き降り積もる真っ白な雪のみ。
このままでは方向感覚を失い遭難しかねないと息を呑む。