神の戯れ


東の空の山々の隙間から朝日が顔を出し、長閑に広がる田園風景を照らし出す。


朝の訪れに鶏は第一声をあげ、目を覚ましたばかりの野良犬は欠伸をしながら伸びをした。




 「ハァ暑い…溶けてしまいそうだわ……」


早朝にも関わらず静かな田舎道を歩く2人の男女。


眩しそうに青空を見上げ溜め息を吐くのは着物姿の女性、フィノ・ネイジュ。

愚痴を零しパタパタと手で顔を扇ぐ彼女は長年滞在し続けていた雪山を降り、出会ったばかりの不老不死、アスラ・エリクサーと共に居た。




 「まだ陽は昇ったばかりだ。この段階で音を上げられていては、先が思いやられるな」


 「何よ、少し弱音を吐いただけじゃない」


呆れたように言うアスラに腹を立てたのか、フィノは歩く速度を上げ前を歩く。



寒さを好み暑さを嫌う雪女。
そんな彼女は早朝の割と冷えたこの気候ですらも暑いと言う。


力を解放すればこの問題も直ぐに解決するのだが、山を降りた彼女は力にプロテクトをかけ制御している。


と言うのも、自らの力を解放してしまえば、辺り一面をあっと言う間に純白の雪道へと変えてしまう。

政府は命を狙い敵対する存在だが、全ての人々が悪では無い。

罪のない者まで困らせるのは避けたいと、彼女なりの気遣いで力を制御しているのだ。











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