神の戯れ
「それにしても、あの極寒の地に居座り続ける雪女が降りてくるとは、どんな心境の変化だ?もしかしてお前、この不老不死にほれ───」
「煩いわよ死神。何を考えていたかは知らないけれど、変な事を言うようなら凍らせるわよ」
ディーの言葉を遮るフィノ。
鋭い眼差しを向けると共にディーの居た大木は一瞬にして凍り付く。
「おっと危ない。氷漬けにされるのは勘弁だ」
大木が凍り付く前に飛び降りたディー。
ローブをはためかせ軽やかに着地した。
「?そのピアス……」
風に髪が靡き覗いた左耳のピアス。
それを目にしたアスラは何故か悲しそうな顔をする。
「あぁこれか?お前の想像通り、これは彼奴の物だったピアスだ。まぁ今は、俺の物だがな」
「…そうか、死んだか、彼奴は……」
「あぁ、丁度1ヶ月前にな」
フィノを置いて進む会話。
誰の話をしているのか理解できないが、何とも言えないこの場の雰囲気。
口を出すべきではないと判断し2人の会話に静かに耳を傾ける。
「1ヶ月、か……まぁ、最期を看取られるのがお前で良かったのかもな」
どこか遠い目をするアスラ。
ディーもまた、目線を下げて煌めくピアスに優しく触れた。