神の戯れ
灯りの点る小さな小さな一軒家。
林の中に佇むそれは城から少し離れた場所に在った。
「…こんな所に何の用だ……?それも夜更けに独り……」
王の後をつけていたレノリアは大木の陰に身を隠し様子を伺う。
護衛もつけず一体何を?
誰かと待ち合わせ?
密会でもしているのか?
辺りを見回し誰も居ない事を確認。
音を立てず素早く移動し家へと近づいたレノリアは窓辺付近で息を潜め耳を澄ませる。
『もう直ぐだ。後少しで全てが終わる』
『……』
『異能者はじきに滅ぶ。そうすれば君は自由だ』
『……』
王の声は聞こえるが、相手の返答が一切聞こえない。
独り言?
否、それはない。
この部屋の中には確実に誰かが居る。
確かに何者かが居る筈なのだ。
王以外の他に存在を感じるレノリアは真意を確かめるべく裏口へと足を向けた。