神の戯れ
背の低い色鮮やかな花々が小さく揺れる。
木の実をかじる小さな栗鼠は他者の存在に身を隠した。
「君もディーとは知り合いだったんだな」
「えぇ。何度かあの雪山にやってきた事があったのよ。まぁ、直ぐに追い返してやったけれど」
夕刻に近づく雑木林を歩くアスラとフィノの2人。
他愛ない話をしながらゆっくりと足を進めていた。
「それにしても顔が広いのね、貴方」
「伊達に長年生きている訳ではないからな」
「それもそうね」
蹴った小石が枯れ葉の広がる坂道を転げ落ちたその時、平穏なこの空間に鋭い銃声が響き渡る。
木霊するその音は此処から離れた場所からのものではあるようだが、そう呑気にしてはいられないだろう。
「全く…何なのよ……」
「…物騒な世の中だ……」
突然の出来事に数羽の烏が飛び立つ空を見上げるアスラ。
足を止めたフィノは溜め息を1つ吐いた。