神の戯れ
「不死でも痛みはあるんだ。少しは手加減をしてくれないか?」
「あら失礼。手を抜いたつもりだったんだけれど」
氷から抜け出し破片を払うアスラに嫌味な態度をとってみせるフィノ。
2人の正体を知ったレノリアは返還してもらった剣を鞘から抜きかけそるがその手を止める。
政府の人間である彼女。
そんな彼女にとって異能者は敵である。
目の前に居るのはその敵の不老不死と雪女。
2人の正体を知った以上、指名を成し遂げる為剣を抜き、刃を向け立ち向かわなければならない。
しかし、今のレノリアはそれを躊躇った。
戦意を向けるどころか、刃を抜く事もしない。
彼女の心は揺れていた。
彼等異能者が必ずしも悪ではないと。
現にレノリアは2人に救われた。
敵対する相手に迷いもなく手を貸す彼等を斬る事などできないと、微かに覗いた刀身を静かに収めた。