神の戯れ
「!?何をする!?」
「悪いが、少し大人しくしてくれないか?」
「っ……」
突然の事に驚くレノリアはアスラの腕の中で暴れるが、アスラは彼女を下ろす気は全く無いようだ。
騎士であるレノリアでも男の力に叶う筈もなく、抵抗むなしく逃げる事は不可能である。
「落ち合う場はわかるか?」
「勿論。この状況からして、向かう場所は限られているからね」
フッと息を吐き捨てたフィノに背を向けたアスラ。
無事にまた会おうと一言残し、アスラはレノリアを連れ地を蹴った。
「…さてと、久々に一暴れでもしようかしら」
肩越しに2人を見送った後力を解放するフィノ。
キンと空気は張り詰め、彼女を中心に地面は凍りつく。
ハラリと舞った小雪は勢いを増し吹雪となり、一瞬にしてその場を積雪の地へと変えた。
「先に警告しておくわ。氷のオブジェになりたくなければ、一時も早く此処から立ち去りなさい」
現れた人々を前に強きな態度をとってみせるフィノ。
外した指輪を親指で宙へと弾く。