神の戯れ
女性の言葉に視線だけを後方へと向けた男性はその意味を理解する。
先程まで満席と言って良い程埋め尽くされていたテーブルに人の姿は無く、人々はそそくさと逃げるように店を出て行ったのだ。
「あぁ、忘れるところだったわ」
パチリと指を鳴らすと現れる暖かな珈琲。
湯気の昇るそれを男性に差し出す彼女の名はブレア・アルベリーノ。
年齢不詳の魔女である。
「すまない、迷惑をかけてしまったようだ」
「気にしないで、単に彼等が貧弱なだけだから。それより私は貴方に会えて嬉しいわ。永遠の時を生きる不老不死、アスラ・エリクサー」
フードを下ろし謝る男性。
露わになった彼の素顔を見つめるブレアは不適に微笑み髪をかきあげた。