神の戯れ
コクリと暖かな珈琲を喉へ流すこの男性、老いる事も死ぬ事も無い身体を持つ不老不死。
名をアスラ・エリクサーと言う。
「それにしても、貴女みたいに名のある有名な魔女がこんな店まで出しているなんて驚きだ」
「あら、そんなに驚く事でも無いわ。確かに、私達異能者にとって住みにくくなってしまった世界だけど、何ら不自由なくやっていけてるのよ」
人と異能、互いに存在を認め共存してきたこの世界。
争う事も対立する事も無く幸せに暮らしていた日々も、ここ数年で変わってしまっていた。
政府は異能者を攻撃し、異能者の抹殺を考えたのだ。
人より優れた力を持つ異能者が、か弱い人間に適う筈が無い。
しかし、現実は異なった結果を導いた。
異能者よりも人の力が勝ったのである。
日に日に異能者の数は減り、未だ生き延びた異能者達は人々に怯え身を隠す。
抹殺と言う言葉の通り、異能者がこの世から消え去るのも時間の問題となっていた。