俺と彼女はコルネカップル
涙をグッとこらえてるのを見ていて、あの日公園から去るときに見た涙が思い出されて苦しくなった。
フラれた理由も、それが辛くて涙をためている咲里。
「 もしかして、まだ好きなの?」
俺は不意に聞いていた。
咲里の涙が、俺を見た時に つっ… と流れた。
キレイに、見えた。
「 ……忘れたいの。」
ただ一言言った咲里を空っぽの頭で抱きしめた。
なにやってんだと自分で思ったが、これしか思い付かない。
それよりも体が動いたんだ、咲里を抱きしめるために。
咲里の力ない手が俺の背中に回って嫌じゃないんだとホッとした。
「 高校生の皇紀くんに慰められるなんて、情けないよね… 」
そんな事ないっ、大丈夫?の一言すら言えない俺に出来るのは抱きしめるだけだ。これしか出来ないんだ…
「 俺が咲里さんを抱きしめてやるから、泣くなよ! 忘れたいなら、忘れろよっ
ずっとこうやって抱きしめてやるから」
本心… この気持ちは本心なんだと思う。
泣くだけ泣いた咲里の涙が俺のシャツを濡らしていく。
シャツに染み込んだ涙は洗ってしまえば晴れた太陽が乾かしてくれる。
もう、大丈夫だと咲里が滲んだマスカラを拭い 笑みを見せる。
可愛いと思った。
パンダみたいな目を必死でごまかしている姿が可愛かった。
ハマったかな、俺……
この日から、たまに学校帰りにも会ったりして、店では相変わらずコルネを作る俺。
なかなかキレイにクリームをパイ筒に納められなかったのが、今ではしっかり出来るようになった。
ただ、咲里を見るとうるさくなる心臓がうっとうしくて、ついクリームがはみ出してしまう。