俺と彼女はコルネカップル

もぐもぐとコルネを食べきってから 咲里は手に落ちたパイ生地を叩いて落とす。

まだクリームついてるって。
クリームまみれじゃん 可愛いっ、まぁ俺のせいだけど。
あ、垂れそう……

咲里の口元についていたクリームが垂れて落ちそうになり、咲里がそれを拭おうとしたのを 俺は咲里の手を掴んで制した。

「 しゃべったら服にクリームが落ちるよ?」

咲里の目をしっかり見て言うと、半開きになっている何かを言いたげなまま止まっている咲里の口元のクリームを舐め取った。

咲里が目をぎゅっと閉じたのはわかった。でも、抵抗しないから ついているクリームを舐めた。

その間、咲里が何を思い考えてどんな気持ちなのかはわからないが、抵抗しない事が俺には 何かの答えに思えた。

コルネみたいな恋がしたい。

咲里が言ったんだ。
その恋の相手は、俺でもいいのか…
答えはクリームが取れて見える唇だけ。

俺は咲里が目を開けた時に言った。

「 俺がパイ生地でいい?」

パチリと瞬きしてから 小さくうなずいた咲里の唇に俺はキスをした。

咲里の唇からクリームの味がした。

俺がパイ生地なら、咲里はカスタードクリームなんだ。

二つが一つになって初めてコルネになるんだ。

だから俺と咲里はもうコルネだ。

甘いクリームの咲里を、俺がパイになってずっと、ずっと包み込む。

ずっとな…





*****完*******

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