ホントは知ってた。
気付いていた。

だからこそ
怖かった。


涙が出た。

抱き締めた腕に
暖かさを感じた。

たぶん
この人の1番には
きっと永遠に
なれないだろう。

この人の心の傷は
直らない。

あたしの役目は
傷を直すんじゃなくて
その傷より
もっともっと
幸せな気持ちで
傷をうめる。


「あなたの気持ちが変わってもあたしの気持ちは変わらないから。信じて」

声が震えた。
涙流した勇の腕が強くなってあたしを抱き締めた。

「ありがとう」


< 16 / 18 >

この作品をシェア

pagetop