Since we were born
「なあ、さち。」

「ん?」

「やっぱり何でもない…」

「何よ。言いかけたなら最後まで言ってよ。」

「何言いたかったか忘れた…」



ゆうきは吊り革に体重をかけてうつむいた。
昔からゆうきは無言になったかと思うと決まってうつむくのだった。



「はいはい。思い出したらで良いよ。」



私は窓の外の止めどなく変わる景色に目をやった。
踏切では母親に手をひかれたスモッグを着た子供が踏切が上がるのを今か今かと待っていた。
< 7 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop