最大の出来事
 焼肉を食べるのは久しぶりなので、夕食が焼肉であることを知っていた空夜はとても喜んでいた。
 いつもみんなで買い物をすると、カートを押しながら行くのに、二人だとそれがいらないので、重さが軽く感じる。
 飲料が並んでいるところへ行くと、璃穏がにんじんやトマト、レタスなど数十種類の野菜が入っている野菜ジュースを凝視している。

「あれ?野菜ジュース、好きだった?」
「いや、懐かしいなと思ったんだ」

 昔、親に野菜ジュースを飲まされたことがあるらしく、正直好みでなかった。

「フルーツジュースは?何種類か入っているもの」
「それは昔ときどき飲んでいたな」

 高校生になってからは紅茶やコーヒーなどを飲むようになった。
 璃穏はアイスコーヒーを取って他の商品も見ているので、育実は先にデザートのところへ向かう。注目したのはプリンで、その中から手に取ったものは丁寧に蒸し上げたなめらかプリン。
 買い物籠に入れようとすると、横から璃穏がなめらかプリンを取って見ている。

「璃穏君も食べる?」

 四個まとめて入っているプリンもあるので、どうするか確認すると、璃穏は別の商品を選ぶようだ。

「どれも美味しそうだね」
「ずっと見ていると迷うね・・・・・・」
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