最大の出来事
 それで何を買ってくれたのかと、瞳を輝かせている空夜に育実はいそべ餅を渡した。

「ありがとな!育実!」
「どういたしまして」

 早速いそべ餅を食べようとしているので、空夜も手伝うように言って、それを中断させる。
 彼は重い腰を上げて、璃穏と育実の手伝いをする。

「ぶどうゼリー、璃穏兄ちゃんの?」
「うん、そうだよ」

 後で一口分けてもらうことになった空夜は喜んでいた。

「それにしても・・・・・・」

 空夜はちらりとテーブルに並べている買った商品を見た。

「金、足りたのか?」
「足りたよ」

 買った数が多いので、絶対に不足したと思っていたが、意外にも足りていたので、空夜は内心驚いていた。

「そうだ!」
「何?」

 テーブルの端においてある袋の中から抹茶わらび餅を取り出した。

「空夜も育ちゃんのように買ったの?」
「いや、違う」

 父親が買ってきたもので、その袋の中には他にも和菓子が入っている。

「柏餅?」
「ああ」
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