最大の出来事
 ちなみに柏餅は母親が買ってきたものらしい。
 家の中に数種類の和菓子が一気に集まるとは思っていなかった。

「璃穏兄ちゃん、どっちを食べる?」
「俺は・・・・・・」

 抹茶わらび餅と柏餅を交互に見て、璃穏は柏餅を選んだ。

「育ちゃんはどっちがーー」
「ん?」
「あ・・・・・・」

 育実は空夜に土産として買ったいそべ餅を彼と一緒に食べている最中。
 口の中に入っていて何も言葉を発せない育実はどちらも今はいらないことを手で示した。

「育ちゃん!それは空夜のだよね!?」
 
 慌てている璃穏に対し、育実は能天気に笑っている。

「少しくれるらしいから、もらったんだよ」
「美味しいか?育実」

 育実が美味しいことを言うと、空夜もいそべ餅を食べ始める。
 二人で仲良く食べているのを見ていると、空夜がいそべ餅を璃穏にも分け、璃穏はそれを受け取り、口の中に入れた。

「どう?璃穏兄ちゃん」
「美味しいよ」

 久しぶりに食べた和菓子はとても美味しいと感じた。
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