最大の出来事
 時計を見ると、ちょうど面白い番組が終わった時間なので、育実は一人で溜息を吐いた。

「どうかしたか?」
「ううん、何でもない」

 フルーツゼリーを美味しそうに食べている空夜を見ながら、育実は今日の夕飯の献立について考えた。
 後日、育実が璃穏と一緒に学校へ行くと、一桜が先に気づいて挨拶をしてくれた。いつもの笑顔を見ることができたので、育実はほっと胸を撫で下ろした。

「おはよう。一桜ちゃん!」
「明日雨が降るみたい・・・・・・」
「嫌だね・・・・・・」
 
 今使っている傘は気に入っているものの、雨は好きではない。

「育実、その傷・・・・・・」
「あぁ・・・・・・」

 今朝、自分の部屋から出ようとしたときに布団で足を滑らせて、箪笥の角に顔をぶつけてしまった。
 その音に気づいた空夜と璃穏が部屋に来て、育実はぶつけたところを涙目で押さえていた。

「またドジなことをしちゃった・・・・・・」
「痛いでしょ?」

 嫌な色になっているので、一桜は育実を心配した。

「今はましだよ」
「本当?」
「うん、本当」

 ぶつけたところが目の辺りなので、視力に悪影響を受けたのではないかと不安になった。

「俺も見たときは驚いたよ」
「私も。まさかこんなことになるなんて思わなかった・・・・・・」
「学校に来たときに気づいて?」
「ううん、違うよ」
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